実績ゼロから最初の1件を取る方法|足りないのは技術力ではありません

この記事の要約

  • 最初の1件が取れない原因は技術力ではなく、「判断材料がないこと」です。まず判断材料を作ってください。
  • 実績ゼロでも、自主制作3件で応募はできます。ここを飛ばすと、何社送っても読まれません。
  • 現実的な入口は知人経由・制作会社の外注・クラウドソーシングの3つ。最も早いのは知人経由です。
  • クラウドソーシングは「実績づくりの場」と割り切ってください。単価は低く、そこに留まると抜け出せなくなります。
  • 無償で受けるなら1件まで。条件は「実績として掲載できること」。これを外すと、ただの持ち出しになります。
  • 1件目でいちばん見られているのは仕上がりより連絡が返ってくるかどうかです。ここだけは経験ゼロでも勝てます。
目次

結論:技術力ではなく、判断材料が足りていません

「実績がないから仕事が取れない。仕事がないから実績ができない」

この行き詰まりは、よく聞きます。ただ、原因を取り違えていることが多いです。

足りていないのは技術力ではなく、相手が判断するための材料です。

発注する側は、あなたの技術を疑っているのではありません。判断する材料がないので、判断できないだけです。そして判断できない案件は、判断できる人に流れます。

だから最初にやることは、営業ではありません。判断材料を作ることです。

私は札幌でWEB制作をしている個人事業者です。制作会社と広告代理店を経て独立し、いまは発注する側にも回っています。両方の立場から、最初の1件をどう取るかを書きます。

先に、正直なことを書きます

この分野の記事には「未経験から3ヶ月で月30万円」といった話が並んでいます。

不可能ではありませんが、一般的ではありません。

実際に多いのは、次のような経過です。

  • 学習に3〜6ヶ月
  • 自主制作と営業に1〜2ヶ月
  • 最初の1件は数万円、あるいは無償
  • そこから継続的な受注まで、さらに数ヶ月

ここを短く見積もると、途中で心が折れます。1年かかるものだと思っておいたほうが、結果的に続きます。

ステップ1:自主制作を3件作る

まずここです。これを飛ばして応募しても、ほぼ読まれません。

作るもの

実在しそうな架空の事業を想定してください。

  • 近所の飲食店(1〜3ページ)
  • 個人の士業事務所(3〜5ページ)
  • 1商品のランディングページ

種類を散らしてください。同じような3件では、判断材料が1件分にしかなりません。

作り方の要点

デザインの見本を探すサイトを見て、構成を真似ることから始めて構いません。ただし、そのまま複製しないでください。

そして必ず、次を添えてください。

想定:札幌市内の住宅街にある、席数20席のカフェ
課題:近隣の住民に存在を知られていない
方針:メニューより先に、店の雰囲気と場所を伝える構成にしました
担当:デザイン、コーディング(HTML/CSS)
※架空の店舗を想定した自主制作です

「架空の店舗を想定した自主制作です」は必ず書いてください。隠すと、後で信用を失います。明記していれば、まったく問題ありません。

載せ方はポートフォリオの記事に詳しく書きました。

実際に公開する

ファイルを手元に置くだけでは足りません。URLで見られる状態にしてください。

無料で公開できるサービスがいくつもあります。独自ドメインを取ってサーバーを借りれば、その作業自体が経験になります。年間で数千円程度です。

ステップ2:入口を3つ試す

入口1:知人経由(最も早い)

最初の1件は、ここから出ることがいちばん多いです。

親族、友人、前職の同僚。誰かが事業をしているか、事業をしている人を知っています。

「WEB制作を始めました。もしサイトで困っている方がいたら教えてください」。この一言をSNSや年賀状に添えるだけで、話が来ることがあります。

この入口の利点は、信用が最初からあることです。技術を疑われません。実績がないことも承知のうえで頼まれます。

欠点は、金額の話がしにくいことです。後で詳しく書きます。

入口2:制作会社の外注として入る

制作会社やフリーランスのディレクターが、コーダーやデザイナーを探しています。パートナー募集を出しているところに応募する形です。

利点は、継続につながりやすいことです。1件うまくいけば、次も来ます。営業を繰り返さずに済みます。

また、発注者との折衝を相手がしてくれます。制作に集中できるので、経験の浅い段階には向いています。

欠点は、単価が下がることです。受注額の30〜50%が相場になります。この構造は外注単価の記事に書きました。

応募の書き方は応募メールの記事にまとめています。

入口3:クラウドソーシング

案件数は多く、実績ゼロでも応募できます。最初の1件を取る場としては現実的です。

ただし、正直に書きます。単価は低いです。1ページ3,000円といった募集も珍しくありません。手数料も引かれます。

ここに長く留まると、その単価が自分の基準になってしまいます。「実績を2〜3件作る場」と割り切って、期限を決めて使ってください。

無償で受けるべきか

意見が割れる論点です。私の考えを書きます。

1件までなら、条件付きで

まったく実績がない段階では、無償や低額で受ける判断はあり得ます。ただし条件を付けてください。

  • 実績として掲載できること……これが取れないなら、受ける意味がありません
  • 作業範囲を限定すること……無償でも、無制限ではありません
  • 修正回数を決めること……無償案件ほど、際限なく増えます

掲載許可がいちばん重要です。お金にならず、実績にもならないなら、それは何にもなっていません。

2件目からは、必ず金額を付けてください

無償で受け続けると、抜け出せなくなります。

金額を付けることには、もうひとつ効果があります。お金が動くと、相手の態度が変わります。素材の準備も、確認の返事も早くなります。無償の案件は、相手にとっても優先度が低いのです。

知人からの依頼こそ、金額を決めてください

いちばんもめるのがここです。

「友人だから」と曖昧にしたまま進めると、後で必ず苦しくなります。修正が延々と続き、断れなくなります。

最初にこう伝えてください。

本来◯万円でお受けしている内容ですが、今回は最初の実績としてお願いしたいので◯円でいかがでしょうか。
作業範囲は◯ページのデザインとコーディング、修正は2回までとさせてください。
完成後、実績として掲載させていただけますと助かります。

「本来はいくらか」を先に言うのが要点です。安くしていることが伝わり、関係も守れます。

1件目で見られているのは、仕上がりではありません

これは発注する側になって、はっきり分かりました。

経験の浅い人に依頼するとき、いちばん心配しているのは技術ではありません。途中で連絡が取れなくなることです。

実際に起きます。難しい箇所で詰まり、言い出せず、そのまま消える。制作物の質より、こちらのほうが被害が大きいのです。

だから、経験ゼロでも勝てる部分があります。

  • 連絡に半日以内で返す……完璧な回答でなくていい。「確認して夕方までにご連絡します」で十分です
  • 詰まったら、早い段階で言う……納期直前の相談がいちばん困ります
  • 進捗を聞かれる前に報告する……週1回、3行で構いません

この3つができるだけで、2件目が来ます。技術は後から付いてきます。

継続される人の共通点はこちらの記事にまとめました。

よくあるご質問

営業メールは何件送ればいいですか

返信率は数%です。10件送って反応がないのは、普通の範囲です。

ただし、30件送って1件も返信がないなら、文面かポートフォリオに問題があります。数を増やす前に、送っているものを見直してください。

スクールに通ったほうがいいですか

独学でも到達できます。ただし、質問できる相手がいるかどうかで、速度がかなり変わります。

費用対効果は人によります。独学で3ヶ月続けられた人は、そのまま続けて問題ありません。3日で止まった人は、環境にお金を払う価値があります。

コーダーとデザイナー、どちらから始めるべきですか

最初の1件を取りやすいのはコーダーです。作業範囲が明確で、外注に出しやすいからです。

デザインは、発注側が「合うかどうか」で選ぶため、実績が少ないと通りにくくなります。

単価が安すぎる案件でも受けるべきですか

1〜2件目までは、実績のために受ける判断はあります。ただし期限を決めてください。

「実績が3件たまったら、単価を上げて応募先を変える」。先に決めておかないと、ずるずる続きます。

途中で作れなくなったら、どうすればいいですか

できるだけ早く伝えてください。これが唯一の正解です。

「◯◯の実装で詰まっており、納期に間に合わない可能性があります。◯日まで調べて、難しいようであれば改めてご相談させてください」

早く言えば、相手には手が打てます。黙って納期を過ぎるのが、いちばん取り返しがつきません。

まとめ

最初の1件が取れない原因は、技術力ではなく判断材料の不足です。

  • まず自主制作を3件……種類を散らし、URLで公開し、想定と担当範囲を明記する
  • 入口は3つ……知人経由がいちばん早い。制作会社の外注は継続につながる。クラウドソーシングは期限を決めて使う
  • 無償は1件まで……条件は「実績として掲載できること」
  • 知人からの依頼こそ金額を決める……「本来は◯万円ですが」と先に伝える

そして、1件目で見られているのは仕上がりではありません。連絡が返ってくるかどうかです。

半日以内に返す。詰まったら早く言う。聞かれる前に報告する。この3つは、経験ゼロでも今日からできます。そして、これができる人は本当に少ないです。

なお、私も制作パートナーの方を探しています。ご興味がありましたら制作パートナー募集のページをご覧ください。経験の年数は問うていません。

この記事の情報について

この記事は2026年1月時点の内容です。発注する側と受注する側の両方の経験にもとづく個人的な見解を含みます。

学習期間や受注までの期間には個人差があります。特定の成果を保証するものではありません。

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