この記事の要約
- ポートフォリオで見られているのは作品の美しさではなく、「この人に任せたら、どこまでやってくれるか」です。
- 1件ごとに担当範囲を明記してください。これがないと、デザインもコーディングも「できない人」として扱われかねません。
- 点数は3〜6件で十分です。弱い作品を足すと、平均が下がります。
- 自主制作は載せて構いません。ただし「自主制作」と明記してください。隠すと信用を失います。
- 載せないほうがいいものがあります。制作年が古すぎるもの、公開が終わっているサイト、守秘義務のある案件です。
- 読み込みが遅い、スマートフォンで崩れる。ポートフォリオ自体の作りが、最大の実績になります。
結論:見ているのは「どこまでやってくれるか」です
ポートフォリオを受け取る側になって、意識が変わりました。
作品の美しさは、もちろん見ています。ただ、それ以上に知りたいことがあります。
この人に任せたら、自分の作業がどれだけ減るのか。
デザインだけなのか、コーディングまでか、WordPressの実装までか。原稿は書けるのか。写真の加工はできるのか。ここが分からないポートフォリオは、判断のしようがありません。
私は札幌でWEB制作をしている個人事業者です。制作会社と広告代理店でクライアントワークを担当し、事業会社では外注先を選ぶ側にいました。いまは自分でもパートナーを募集しています。
選ぶ側として実際に見ているところを書きます。
1件ごとに、必ず書いてほしいこと
作品を並べるだけでは足りません。次の4つを添えてください。
1. 担当範囲
これがいちばん重要です。
チームで作ったサイトを載せている場合、どこを担当したのかが分かりません。全部作ったように見えて、実はコーディングだけだった。逆に、デザインもしたのに伝わっていない。
どちらも損をします。次の書き方で十分です。
担当:デザイン、コーディング、WordPress実装
※ロゴと写真はクライアント支給担当:コーディングのみ(デザインは別の方が制作)
担当:デザイン(Figma)まで。実装は制作会社側で対応
「〜のみ」と書いても、評価は下がりません。正確に書いてある人のほうが、後のやり取りが楽だと分かるからです。
2. 制作年
2018年の作品と2025年の作品では、意味が変わります。
古い作品しかない場合、いま動いていないのではないかと見られます。直近1〜2年の作品を必ず1件は入れてください。
3. 業種と規模
飲食店なのか、士業なのか、BtoBのメーカーなのか。ページ数はいくつか。
発注側は、自分の案件に近いものを探しています。「飲食店のサイトを作りたい」と思っている人は、飲食店の実績を探します。
4. 何を狙って、どう解いたか
長い解説は要りません。2〜3行で十分です。
電話での予約が中心の店舗のため、スマートフォンでの表示時に電話ボタンを画面下に固定しました。
メニューの写真は点数を絞り、看板料理3品を大きく見せる構成にしています。
これがあると、「言われた通り作る人」ではなく「考えて作る人」に見えます。単価にも影響します。
点数は3〜6件で十分です
数を増やせば有利になると思われがちですが、逆です。
ポートフォリオは、平均点ではなく最低点で見られます。
10件並んでいて、そのうち3件の出来が良くない。すると「この人は当たり外れがある」と受け取られます。良い3件だけを載せていれば、そうはなりません。
基準は単純です。「これを見せて自分が恥ずかしくないか」。迷ったら外してください。
載せないほうがいいもの
公開が終わっているサイト
リンクをクリックして404が出る。これは相当な減点です。
作品そのものより「管理していない人」という印象が残ります。
公開が終わった案件は、スクリーンショットに切り替えてください。その際は「※現在は公開終了しています」と添えます。定期的にリンク切れを確認する習慣を持ってください。
守秘義務のある案件
掲載可否を確認していない案件を、勝手に載せてはいけません。
これは信用の問題です。受け取る側は「うちの案件も勝手に載せるのでは」と考えます。
掲載可否は着手前に確認してください。この点は着手前に決めるべき7項目の記事に書きました。
他人の作品
言うまでもありませんが、実際に起きます。
WEB業界は狭いです。制作者を知っている人に当たる確率は、思うより高いです。一度露見すれば、その後の取引はありません。
デザインカンプだけの、実装されていないもの
載せて構いませんが、実装済みの作品と混ぜないでください。混ざっていると、実装できるように見えて、実はできないという誤解が生まれます。
「デザイン案(未実装)」のように、見出しで区切ってください。
自主制作は、載せて構いません
実績が少ない段階では、自主制作しかないこともあります。載せてください。何もないよりはるかに良いです。
ただし、条件が2つあります。
1. 自主制作であると明記する
「架空の店舗を想定した自主制作です」。この一文を必ず入れてください。
明記していれば、まったく問題ありません。むしろ、自分でテーマを設定して形にできる人だと評価されます。
問題になるのは、実案件のように見せた場合です。後で分かったとき、作品の評価ではなく人間の評価が下がります。
2. 想定を具体的に書く
「架空のカフェ」だけでは弱いです。
想定:札幌市内の住宅街にある、席数20席のカフェ
課題:近隣の住民に存在を知られていない
方針:メニューより先に、店の雰囲気と場所を伝える構成にしました
ここまで書くと、実案件と同等に評価されます。むしろ、思考の過程が見える分、実案件より判断しやすいこともあります。
ポートフォリオサイト自体が、最大の実績です
見落とされがちですが、これがいちばん大きいかもしれません。
ポートフォリオサイトそのものが、あなたの作品です。
次の点は必ず確認してください。
- スマートフォンで崩れていないか……受け取る側は移動中に見ることもあります
- 読み込みが遅くないか……画像が重いポートフォリオは、それ自体が減点です
- リンクが切れていないか
- 連絡先があるか……気に入っても連絡できないケースがあります
- 誤字がないか
凝った演出は不要です。作品が見やすいことが最優先です。スクロールに合わせて派手に動くサイトは、作品を見にくくしていることがあります。
SNSやサービスに置く場合
自分でサイトを作らず、既存のサービスに置く方法もあります。それ自体は問題ありません。
ただしコーダーやデザイナーの場合、自分で作ったサイトがあるほうが有利です。「作れる人」であることの証明になるからです。
1ページで構いません。作品を並べて、担当範囲を書いて、連絡先を置く。それで足ります。
並べる順番も、決めてください
作った順に並べている方が多いのですが、これは損をしています。
いちばん自信のある1件を、先頭に置いてください。
受け取る側は、上から順に見ます。そして多くの場合、最後まで見ません。2〜3件見た時点で、だいたいの判断が付いてしまいます。
つまり、先頭の1件が全体の印象を決めます。ここに弱い作品を置くと、下にある良い作品は見られないまま終わります。
相手に合わせて、順番を変える
もう一段進めるなら、応募先ごとに並べ替えてください。
飲食店の案件が多い制作会社に応募するなら、飲食店の実績を先頭に。WordPress案件が中心なら、WordPress実装の実績を先頭に。
並べ替えができない作りにしている場合は、応募メールの本文で順番を指定してください。「特にご覧いただきたいのは、こちらの2件です」と書けば足ります。
この一手間は、応募メールの書き方とあわせてこちらの記事にまとめました。
「作れる」以外の情報も、置いてください
ポートフォリオは作品集ですが、それだけでは発注に至りません。発注する側は、作品を見た後に別のことを考えます。
「この人に頼めるのか」「いくらなのか」「いつ動けるのか」。
次の情報を、1ページにまとめて置いてください。
- 対応できる作業……デザイン、コーディング、WordPress実装、原稿など
- 使えるツール
- 単価の目安……「1ページ◯円〜」で構いません
- 稼働できる時間帯と、対応可能な量
- 連絡先
単価を書くことに抵抗があるかもしれません。ただ、書いていないと問い合わせの前に止まる人がいます。予算が合うか分からないまま連絡するのは、相手にとっても負担です。
下限だけ示す形で十分です。「1ページ8,000円〜(内容によりご相談)」。この一行があるだけで、話が一段早く進みます。
よくあるご質問
実績が1件もありません
自主制作を2〜3件作ってください。ここを飛ばして応募しても、判断されないまま終わります。
知人の店や、家族の事業のサイトを無償または低額で作らせてもらう方法もあります。実案件になり、掲載許可も取りやすくなります。
クライアント名を出せません
伏せて構いません。「札幌市内の飲食店」「東京都内の税理士事務所」で十分です。
私自身も、掲載許可の関係で社名を伏せている事例があります。伏せていること自体は、不利になりません。
デザインを他人がしたコーディング案件は、載せていいですか
載せてください。ただし「コーディングのみ担当」と必ず書いてください。
これを書かずに載せると、デザイン力を過大に評価されます。実際に依頼が来たとき、期待とずれます。
更新はどのくらいの頻度で必要ですか
案件が増えたときと、年に1回のリンク確認。この2つで足ります。
頻度より、直近1〜2年の作品が入っているかが重要です。
ノーコードツールで作った実績も載せていいですか
構いません。使ったツール名を明記してください。
発注側にとっては、ツールが何かより「その案件に合っていたか」が判断材料になります。小規模なサイトをノーコードで早く仕上げているなら、それは強みです。
まとめ
ポートフォリオで見られているのは、作品の美しさではありません。この人に任せたら、どこまでやってくれるかです。
1件ごとに次の4つを添えてください。
- 担当範囲……「〜のみ」と書いても評価は下がりません
- 制作年……直近1〜2年の作品を必ず1件
- 業種と規模……近い案件を探されています
- 何を狙って、どう解いたか……2〜3行で十分
点数は3〜6件。弱い作品を足すと平均が下がります。
自主制作は載せて構いません。ただし自主制作であることを必ず明記してください。
そして、ポートフォリオサイトそのものが最大の作品です。スマートフォンでの表示、読み込み速度、リンク切れ。ここを整えるだけで、他の応募者と差が付きます。
なお、私も制作パートナーの方を探しています。制作パートナー募集のページにも「ポートフォリオは必ずご確認のうえお送りください」と書いています。それだけ、判断の中心にあるということです。
この記事の情報について
この記事は2026年1月時点の内容です。ポートフォリオを受け取る側としての経験にもとづく個人的な見解を含みます。
評価の基準は発注者によって異なります。募集要項に指定がある場合は、そちらを優先してください。